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を持つ型よりle/le型に感染が低率で、表現型のLea−b+やLea+b−に比べ、Lea−b−型の感染がやや低率である現象を裏付けた。一方、Se遺伝子については、有意ではないが、むしろSej/Sej型に感染率がやや高く、Leb抗原の感染への相関を言うには困難であった。これらは、検討数を増やすべく実験が進行中である。
また、H.pylori臨床菌株と各表現型の赤血球凝集反応をみても、著しい特徴は見出せなかった。Lewis式血液型を考慮に入れず、ABO式のみで各型別に同様の凝集反応をみた結果も表現型による差はなかったという3)。他方で、B型抗原はH.pyloriとの凝固反応が強いという報告もある9)。ただし、赤血球凝集素が胃粘膜への付着因子として作用するか否かは明らかではない。
さらに、我々は、Lewis式血液型物質における胃粘膜上の発現量を、胃炎を呈する体部と腸上皮化生を示す幽門前庭部で対比した。Lea−b+の者は、病理組織学的正常時にはLeb抗原を優位に発現しているが、腸上皮化生に進展すると、Lea抗原の表現がみられ、その免疫組織化学的な染色度がLeb抗原を上回るような傾向になる10)。腸上皮化生粘膜には

 

 

 

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